いまやワーキングファの代名詞になっているタクシー労働者。福岡県内のタクシー労働者の組合、自公総連福岡地連は賃金・労働条件改善の取 り組みを進めています。
タクシー労働者に低賃金と長時間労働を広げたのは、2002年の規制緩和でした。タクシー台数が急増します。
自交総連ワーカーズコープ福岡労働組合の広瀬早美委員長は言います。
「規制緩和で福岡市内のタクシーが1000台も増える一方、1台あたりの売り上げが減った。一乗務当たりの運員収入が34000円から26000円にまで落ち込んだ」
年収239万円低い 厚生労働省調査でも2008年のハイヤー・タクシー労働者の平均年収は271万円で、他産業常用労働者の510万円より239万円も低くなっています。地域最低賃金や生活保護基準額を下回る県もあります。
福岡都市圏で乗務する50代のタクシー運転手は「バブル時代の年収500万円から今は200万円台にまで落ち込んだ。少ない人だと100万円台。若い人にとって魅力ある職場とはとても言えない」と話します。タクシーが多すぎるため労働者は長持間・過労運転となり、健康を脅かされ、少ない乗客を奪い合うために乱暴運転やトラブル、交通事故も増えています。
自交総連福岡地連の内田大亮書記長は「私たちは規制緩和に反対し、減車や不当な低額運賃の是正を求めてきた。日本共産党の仁比聡平前参院議員と穀田恵二衆院議員にも国会でたびたび取り上げてもらった」と話します。
国会内外のタクシー業界正常化をめざす取り組みが実を結び、2009年7月に規制援和を見直す「タクシー活性化法」が成立しました。国法で供給過剰と指定された特定地域(福岡都市圏など全国156地域)では、事業者が地域計画にもとづく事業再構築(減車)を含む特定事業計画を提出することになりました。
最賃法違反告発 福岡地連は今年1月から交通労連などと共同で、減車に積極的でない事業者に対し最低賃金法違反での告発を準備してきました。5月30日に賃金明細書などをもとに2社を告発しました。
当初告発対象にリストアップしていた12社のうち大事1社が「特定事業計画に盛り込まれた減車を確実に実行する。未払い賃金を支払う」ことを確認するという成果を得ています。
内田書記長は「大手も減車を表明し、あちらがしないからこちらもしないという理屈はもう成り立たない。確実な減車実行にむけた要請活動を強化していく」と話しています。(しんぶん赤旗 2011年8月25日)