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2016.09.09 Friday

【赤旗・西日本リポート】 熊本地震・豪雨 農業用水復旧めどたたず

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    収入断たれ中山間地崩壊も

    国は大規模化要求やめ支援を

     

     熊本地震と、その後の緩んだ地盤を直撃した大雨に伴う土砂崩落は、中山間地の田畑に水を引く水路にも大きな被害を与えました。震災から4カ月半、農業用水復旧のめどがたたず、営農できない多くの生産者が収入を失ったままです。中山間地の農業と地域そのものが崩壊の危機に直面する中、国の支援が求められています。(岡素晴記者)

     

     「民宿を始めて7年、テレビで紹介されたことで利用客が増え、これからという時だったんです」。阿蘇外輪山ふもとの西原村で、ブルーベリー収穫などの農業体験や自家製の食材を使った料理が評判だった「農家民宿」を営んでいた女性(63)は、地震で生業が崩れ去りました。

     

     民宿の被害に加え周辺一帯の道路が寸断し、営業停止に。山の遊水池から田畑に給水していた水路も壊れ、2カ月後の豪雨に伴う土石流で水脈そのものがのみ込まれたといいます。

     

     水が引けないためにコメは作れず、野菜なども枯れてしまった中、女性は「一滴でも水がほしい。野菜を作ってまた物産館に出せるようにしたい」と痛切な思いを打ち明けました。

     

    復旧に条件

     

     相談を受けた日本共産党の田島敬一西原村議は「唯一の方法はボーリング(掘削)して水が流れるように復旧することです」と指摘。村も莫大(ばくだい)な費用のかかることがあるというだけに個人での復旧は厳しく、田島氏は国の支援が不可欠と話します。

    復旧費を国が補助する農業用施設災害復旧事業に申請すれば約97%の高率補助を受けられるといいますが、2戸以上の受益農家(農地1戸を含め関係農家は3戸以上)を必要とする条件が壁になっています。遊水池から水を引いていたのは女性が耕作していた田畑だけだったからです。

     

     受益農家数で線引きし、予算投入の効率性を優先するような現行の制度。県農民運動連合会の笹渕賢吾会長(党和水町議)は「農民の要求で変えていくしかない。別の場所で地震が起きた場合も同じ問題は必ず出てきます。災害に負けない日本の農業にしていくにも多くの農民の声を拾い上げていかなければ」と語りました。

     

     江戸時代に作られた水路「元禄井出・嘉永井出」が被害を受けた御船町の旧七滝村地域。七浦土地改良区によると農業用水の送られていた水田約175ヘクタールのほとんどで今期の田植えが見送られました。

     

     日本共産党の真島省三衆院議員、仁比聡平参院議員らが調査に訪れた8月19日、県道221号両脇の棚田は一面に草が伸び、所々に地震による陥没や亀裂が生じるなど、昨年までの青々と稲の育つ里山の風景は見られませんでした。

     

    地域壊すな

     

     南田代第4区の吉澤勝美区長は水路の完全復旧にはとてつもない負担額が生じるとのべ、国の支援を求めます。ところが、補助事業の説明に訪れた県の担当は、支援を受けるには生産の担い手を集約し、農地区画の大規模化を進めるよう要求したといいます。

     

     「これまで90歳を超えるお年寄りがつえを突き、車いすに乗ってでも祖先から受け継いだ田畑を守りたい一心で通っていた地域なんです」。吉澤区長は真島、仁比の両氏に、採算を度外視して営農が続けられている地域の実態に大規模化は適さないと訴えました。

     

     「二つの水路は私たちの祖先が山を手で掘り、何百年もかけて築き上げた地域の宝です。このままでは震災をきっかけに高齢者の生きがいが失われ、地域のつながりまで壊れてしまう。それを国、県は理解してもらいたい」(しんぶん赤旗 2016年9月9日)

     


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